事務所通信 平成18年3号掲載
 利益0でも税金を払う!? 
 私は、お客様に対し「利益が出ても、根こそぎ税金で持って行かれる訳ではないので正しい決算をして、適正な納税をして下さい。残った利益が内部留保され、不測の事態に耐えられる財務体質を作り上げることになりますから。」とずっと言い続けてきました。 ところが、正しい決算の結果、利益が0となってしまっても税金が発生する法案が、今国会を通過しようとしています。

 同族会社の役員報酬の一部を経費として認めないという法案です。同族会社の社長は、役員報酬において給与所得者の必要経費に相当する給与所得控除額で節税し、さらにその役員報酬が法人の利益を圧縮しているということから発想されたものです。

対象となる会社(@とAの両方に該当する会社)
@ オーナー一族の持株割合が90%以上
A オーナー一族が常務に従事する役員の過半数を占めている

正確ではありませんが、利益に対しての税率を35%として試算してみます

ケース1 会社の利益100万円、役員報酬1,200万円の場合  
     
      改正前税金  35万円   改正後税金 116万円

ケース2 
会社の利益    0円、役員報酬1,200万円の場合  
        
      改正前税金 均等割のみ 
改正後税金   81万円 

ケース1では会社の利益以上の税金となり、ケース2では標題のとおり、利益が0でも81万円という税金を支払わなければなりません。なんてばかげた法案でしょう。役員報酬で良い思いをしているということであれば、それは所得税の中で解決すべき事項であり、法人に負担させることは筋が通っていません。会社の弱体化を促進する法案であり、新会社法で会社を作りやすくしておきながら、それに逆行するような法案です。
 
前回、国家の品格というテーマで書きました。 まさしく「品のない法律」だと思いますが、皆様方の感想はいかがでしょうか。

所 長  須 田 幸 英
事務所通信 3月号掲載

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